主 now The きく♥みみ&たび 2013年11月

柴犬マイちゃんへの手紙

『柴犬マイちゃんへの手紙』
(柳原三佳著・講談社)

マイちゃん

2010年の12月26日に、
私の友人である水島さん夫妻に、悲劇が襲いました。
冬休みを迎えて遊びに来た幼いお孫さん二人と、
愛犬を連れて、いつもの散歩から帰宅する時のことでした。

「東京・田園調布の中原街道で、大音量のラップ音楽に合わせて蛇行運転を繰り返していた乗用車が、歩道に突っ込み、信号が青になるのを待っていた4人をはね飛ばした」

この事故で、お孫さん二人は死亡し、夫妻は重傷を負い、愛犬は行方不明に。
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翌年の3月11日は、東北地方に大地震が襲いました。
直前まで元気だった人たちが、突然、二度と会えないところへ逝ってしまったのです。
あの日、家族を目前で失う恐怖と悲しみを多くの人が味わってしまいました。
被災者や遺族の人々には、どんな言葉をもってしても、慰めにならないくらい・・・
残酷な時間を過ごしていたことです。
日本中が追悼の念を込めて、さまざまなイベントも自粛し、テレビではCMが消えました。
被災者の人々は、同じ悲しみを味わった同士として絆を深め、励ましあい、信じあい、そして、3年が過ぎて行こうとしているのです。

あれほどの大惨事を知っても・・・

私の友人が味わった不幸は、さらに地獄のようだと思えてなりません。
彼女の気持ちを思うと、救われない気持ちになるのです。

天災という逃げ場のない災難ではなく、
ふいに道路に飛び出したわけでもなく、
歩道で、赤信号で信号待ちをしていた歩行者でした。

交通ルールを守っていた子供たちが亡くなったこと。

目に入れても痛くないほどと言われる可愛い孫たちは、自分たちの家に遊びに来て、自分と散歩中に、自分の隣で車に轢かれ死んでしまった。
どうして、孫たちが・・・孫たちだけが・・・そう思い続けながら、その場所で生きていかなくてはならない。
生きてゆかねばならないから。

そして、東北地方が復旧していくなか、東北復興を応援するイベントが盛り上がるなか、
去年の11月16日の裁判では、再び地獄へ突き落とされました。
『主文、被告人を懲役7年に処する』

その刑罰の短い年月のごとく、二人の子供の命は、軽く扱われてしまったようです。

あの日、再び、友人家族だけが地獄へ突き落とされました。
立ち直るすべを奪ったのは、何だったのでしょう。

あれから1年。
この本が出版されました。
遺族の実名で書かれた覚悟に、大きな決心を感じました。
そして、この本は、児童書として出版されました。
小学高学年向きに。

あの日、あの事故に巻き込まれたのは、人間だけでなく、愛犬もいました。
柴犬のマイ。
マイは、友人のご主人の手にひかれ、二人の孫達と信号待ちをしていたのです。
自分の家族が跳ね飛ばされて動かなくなった様子、救急車で運ばれていく様子・・
あの事故の一部始終を愛犬は見ていたことです。
けれど、その場にいただろう愛犬に気付く人は誰もいませんでした。

その愛犬に、二人の少年は、手紙を書いていました。


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本は、子供たちが難なく読めるように、漢字にはルビがふってあります。
交通ルールや法律の話、現場検証の話しも出てきます。
専門用語には、その意味も書かれています。
この事故の判決に至るまでの過程も克明に記されています。
残酷な話は、子供向きではない?
いいえ、この本は、「事故って怖いね、気を付けようね」だけの感想では終わらせたくない、そういう思いが込められています。

なぜ、児童向けに編集してあるのか?

大人向きの本にしてしまうと、子供たちが読めないからです。
子供たちこそ、これから交通ルールを守る大人に成長して欲しいのです。
事故を起こす前に、免許をとる前に、交通事故がもたらす悲劇を知ることも、交通安全運転に繋がるのではないでしょうか。

遺族が実話を提供することで、交通安全の教材本になるでしょう。

世の中の子供たちには、交通事故の<被害者にならぬように>と当たり前のように教えます。
事故に遭わぬように、赤信号では渡らない。
事故に遭わぬように、一列になって通学する。
それでも、安全ではないのです。
事実、歩道で信号待ちをしていた友人家族は、安全と言われる場所で事故に遭ったのです。
また、通学路に車が突っ込んで、子供たちや父兄が命を奪われたという悲惨な事故もありました。

事故に遭わぬようにしても遭う、これは言い換えると、気を付けていても、事故をもたらす加害者に出くわす。
そういう<加害者にならぬように>という教育も必要なのです。

誰でも、被害者にも加害者にもなりうることなのです。

この本では、子供たちが学ぶ交通安全とは<被害者にならぬために>と同じくらい、<加害者にならぬために>ということも、子供たちに伝えています。
無謀運転がなくならない限り、安全ではないと訴えかけているように思えました。

どんな運転が事故に繋がるのか、この本をテーマに、家族で、子供たちを交えて考えて欲しいと思いました。
友人夫妻も、そう願っているような気がしました。

誰かの命を奪うかもしれない無謀運転を自分はしない!と子供の頃から意識させていくこと。
これこそ、身近な親の教育かもしれません。
父親の運転、母親の運転、子供たちはドライバーの運転を見ています。

例えば、家族でドライブ中に、父親が、一瞬でも蛇行運転をしてみせます。
母親は、笑いながら「危ないでしょ~」と言うでしょう。
子供は、笑う両親を見て、危険を認識しないどころか、面白いと認識します。
子供の記憶には、楽しい運転とインプットされてしまう可能性があること。

その子が免許をとったら、真っ先に試すかもしれません。
友達を乗せて、恋人を乗せて・・そして、その一瞬の行為が、自分や自分の愛する者、他人までも、死に至らせると気づかずに。

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本は、ノンフィクション作家の柳原さんによって執筆されました。
事故発生から裁判までの流れが、具体的にルポルタージュされています。
子供たちに伝えたいことは、学校では教えることのない、運転に対するモラル。
事故は恐ろしい、それだけの感想で終わってほしくない。

命の重さと、愛する者を失う悲しみと、加害者にならぬための安全な運転をして欲しい。

遺族は、その教材となるよう、実話を提供されたのだと思います。

そして、もうひとつ注目して欲しいのは、裁判の様子です。
克明に描かれています。
もし、あなたの家族が被害者だったら、どう感じるでしょう。
事故の数だけ、状況があるはずです。
言い逃れが通用するのなら、悪質なひき逃げと同じだと思いました。

こういう裁判を今日もどこかで加害者と被害者がやっているのでしょうか・・
被害者や、遺族にされたうえに、さらに人間不信になりそうな、
果てしなく、無念な思いを味わう被害者。
事故の数だけ、状況は違うのに。

さて、タイトルの「マイちゃんへの手紙」
幼い二人は、あの事故の直前に、愛犬に手紙を書いていたそうです。
散歩から戻ったら続きを書くつもりで、手紙は書きかけでした。

マイちゃん

私は、マイちゃんに会って、不思議な気分になりました。
この凛として、穏やかな顔。
みっちゃんと、はるちゃんの手紙を受け取っているかのように思えました。
何かを約束したような。
マイ 「私しか解らないことです」と言いたげな顔です。

このマイちゃんに、友人夫妻は救われているようです。
あの日、一度は行方不明になった犬。
再び、我が家に戻ることができました。
マイちゃんは、生まれ変わったように、生き生きとして見えました。

改めて、
みっちゃん、はるちゃん、安心してください。
マイちゃんは、きっと、約束を果たしてくれます。
おじいちゃんと、おばあちゃんを守りながら。

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マイちゃん
せせらぎ公園にて。
もうすぐ13歳になるマイちゃんと、うちの5歳の愛犬たち。

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柴犬マイちゃんへの手紙 

『柴犬マイちゃんへの手紙』
(柳原三佳著・講談社)

柴犬マイちゃんへの手紙

[本書の内容]
信号待ちをしていた祖父母と孫に突っ込んだ無謀運転の車
理不尽に奪われた子供の命の尊厳を取り戻すべく、遺族はたたかった
そして、そんな彼らを癒やし、支える愛犬が実在する
交通事故は人々からなにを奪うのか。
すべてのこどもたちに伝えたい 
・・・三佳さんのブログから抜粋

世の中への扉 柴犬マイちゃんへの手紙 無謀運転でふたりの男の子を失った家族と愛犬の物語世の中への扉 柴犬マイちゃんへの手紙 無謀運転でふたりの男の子を失った家族と愛犬の物語
(2013/11/22)
柳原 三佳

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動物愛護団体から引き取られた柴犬のマイちゃん。里親さんも決まり、幸せな日々を送っていた。ところが、2010年のクリスマスの翌日、里親さん家族と散歩中に交通事故に遭ってしまった。現場にいたマイちゃんの家族は、皆、救急車で運ばれて、取り残されたマイちゃんは行方不明に・・・。マイちゃんを大好きだった二人の少年はその事故で亡くなった。彼らが残した手紙とは?悲しい実話本だが、事故後、愛犬に癒された遺族と、交通事故の真実を描かれた小学高学年から読める児童書。交通ルールをテーマに家族で読んで欲しい。

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このお話については、こちらにも書きました。ご覧ください。
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シクラメンのその後 -種まき30日後-

2010年に採取した種を先々月にまいて、30日が過ぎました。
古い種ですが、ほんとに、一月後に芽が出ましたからね。
感心しました。

ところで、種まきして一週間で芽のようなものが出ましたが、
それは、なななんと!カビでした。
慌てて、殺菌剤をまきまして・・で、もうダメかなーと思っていたら・・

201311150c1.jpg

古い種でも、カビが生えても、芽が出ることが証明されました。
いったい、シクラメンの種はどのくらい保存できるのでしょうか・・

201311150c2.jpg

201311150c3.jpg

まぁ、こんな状態ですが、自然な感じが良いです。
この調子では、来年も咲かないでしょうね。
その前に、夏が越せるか。

実家に持って行った去年の苗は、見事に育っていましたが、
花を付けるほど大きく成長はしていません。

お店で売っているシクラメンの成長は、驚異的に早いのですね。
どんな成長剤を使っているのかしら(笑)
それ売っていたら、売れるでしょうねぇ・・


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ピンクの葉 -プリンセチア-

プリンセチア、今年初めて買ってみました。
前から気になっていた、ポンセチアの仲間です。

プリンセス+ポインセチア=プリンセチア
201311150pu.jpg
手のひらサイズで、800円もしました><。
ちょっとお高い気がしましたが、周りはもっとお高くて手が出ませんでした。

とにかく、このこは、小さいのに、
すでに大人の容姿になっているのが、妙に可愛いと思いました。

2013111502.jpg

挿し木のポインセチアより小さいのに、枝ぶりはしっかりしています。

なので、大きな鉢に植え替えました。
ほんとは、すぐに植え替えたらイケナイのですがね・・
それまで、どんな場所で育っていたのか解りませんでしょ、
まずは、数日、新しい環境に慣らさないと。

寒空の下、植え替えは禁物でしたが、あまりに小さな鉢に入っていて、頭でっかちで、
バランス崩すと倒れそうなので、植え替えてしまいました。

こんな小さなプリンセチアですが、3年も経つと、隣のポインくらいになります!

2013111501.jpg

そう、隣のデカイポインも、もとは、小さな小さな苗でした。
今では、ポインの木、のようです。

今、華やかに売られている市販のものと比べると、ボリュームも花も乏しいですね。
あの、葉の中央に咲く見事なブツブツ、というかツブツブの花が少ないですし、
このとおり、葉の間がスカスカ。

これは、たぶん切り戻しをしなかったせいでしょう。
そのあたりが、自宅栽培の難しいところですね。
来年は、バッサリ切り戻して、葉の密度が濃くなるよう管理せねば!

ところで、クリスマスが過ぎたら、ポンセチアも値が下がるでしょうか。
ホワイト系も、欲しいな・・・高いけど。

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プロフィール

美月

Author:美月
家族は、夫と母と愛犬3匹、愛猫3匹、熱帯魚。
2015年春まで都内在住。
2015年春から隣県の実家暮らし。

2017年秋、放置気味のブログをこちらに移行して、ワンコ日記を再開。
再開のキッカケは、きくみみに、弟分(たび)ができたから。

ガーデニングブログも、こちらに移行しました。

【主 now The きくみみ&たび】とは、
【シュナウザーきくみみ&たび】
主人公(主犬公?)は愛犬たちという意味です(^^)

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注)
2017年10月以前の記事のページは、3つのブログがこちらに移行されていますので、
記事内容のダブりがあります。
少々ウザイ状態ですが(^^ゞ
リンク先が不明ページも(ここに移行して載せていますので)実は、あるのですょ。


猫の創作話は【駒吉(愛猫の名前)】で綴っています。

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