主 now The きく♥みみ&たび 2006年09月

15 【白玉の笛の音に乗って】<完>

白玉と小雪は、町中の猫たちの幸せと繁栄を願いながら、
笛を吹きました。

にょめごと森の演奏会

演奏会が終わると、白玉は小雪に尋ねました。

白玉 「小雪さんのその笛は、どうしたの?」

小雪 「坂上の長老猫のトミ吉爺さんから頂いたのです」

白玉 「あら、私もそうだわ。それで、すぐに音が出た?」

小雪 「いいえ。すぐには出ませんでしたね」

白玉 「私も最初は、音が出なかったの。
     どうして出るようになったのかな」

小雪 「それは、たぶん・・
     心の息がかかったのかもしれませんね。
     思いやりの心、優しい心・・みんなの幸せを願う心の息。
     笛の音は、心の息を吹きかけたら出るのだと思います」

白玉 「思いやりの心の息・・」

小雪はニッコリと微笑みました。

小雪 「私は坂下の野良猫さんたちに、とてもお世話になりました。
     その恩返しは、笛吹き猫になることだと思いました。
     私の笛の音が聴きたいという野良猫さんたちに、
     感謝の気持ちを抱いて吹いたのです。
     すると、とても美しい音がでましたよ」

白玉 「たしかに・・そうだわ!」

白玉は、感謝と思いやりの心をもっと持ちたいと思いました。

「では、白玉さん、私はそろそろ帰ります。
 また、集会の時にお会いしましょうね」
小雪はそう言って帰って行きました。

白玉の母猫がやってきました。

「白玉~、良かったねぇ。とても上手だったよ」

「うん。小雪さんと会ったわ」

「ああ、隣で吹いていたのは、やっぱり小雪さんかい」

「ねぇ母さん、
 どうして笛の音が出るようになったか、解ったわ。
 あ・・そうそう、トミ吉爺さんは来てた?」

「見なかったねぇ・・」


白玉は、広場から去っていく猫たちの後姿を見つめました。
と、その時・・会長猫の叫ぶ声が聞えました。

「おぉ!見える!トミキチさん!
 トミキチさんが旅に出ました!
 皆さん!トミキチさんが挨拶をしておりますぞ!ほら!
 皆さん!夜空を見上げて御覧なさい。
 トミキチさんは、月の影を踏んでいったのですな!
 皆さん!わたしらの瞬き信号をトミキチさんへ送って下さい。
 おぉ!
 おめでとう!トミキチさん!」

白玉は、慌てて夜空を眺めました。

あれは・・トミ爺さん


「ああ!本当!母さん・・見て!」

「トミ爺さんだねぇ・・そうか、逝きなさったんだね・・」

白玉は、トミ爺との約束を思い出しました。

(お爺さんは・・トミ爺さんは・・
 私の笛の音で天上へ行こうと言ったのね!
 解ったわ!あの曲を吹くわ!聴いて・・)

白玉は、長老猫に感謝の気持ちを込めながら、
月に向かってゆっくりと笛を吹き始めました。

トミ爺の影も、白玉の笛の音に乗るように、
月に向かってゆっくりと昇っていきました。

-白玉の笛 <完>-

ご愛読、ありがとうございました。
また、シリーズにて書きたいと思います。
新作が浮かぶまで暫くお待ち下さい。
挿絵は、【ヤッタの冒険】でお世話になったムギフタバさんの作品です。



白玉の笛

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14 【偶然の再会】

それから毎日、白玉は笛の練習をしました。
どこへ行くにも笛を持って行きました。

いよいよ、にょめごと森の集会の晩がやってきました。

今夜は<ゴミあさりのルール>が話し合われます。
そのあとに、演奏会があります。

白玉は、母猫とともに、少し早めに森へ向かいました。
森には月の光が煌々と差しています。

森の入り口では、会長猫の家に居候をしている赤茶の猫が二匹いました。
どうやら、集会場所の解るメモらしき木の葉を配っています。

「こんばんわ!白玉さん、お母さん」赤茶の猫がそろって言いました。
「こんばんわ!寅吉さん、寅次さん」白玉の母猫が言いました。

「今夜はここです」
寅吉が、手にした木の葉をハグハグと噛んで渡しました。

それを見た母猫は、「解りましたよ」と言って歩き出しました。

白玉 「母さん、私にも見せて?」

白玉が木の葉を見せてもらうと、そこには
5本目のサルナシを超えたトコ・・
と記されていました。

二匹は見合って笑いました。

さて、5本目のサルナシを超えたところとは・・

------
月明かりに照らされた森の中の空き地、
ぽっかりと空いた広場、
それは完全に干からびた沼の跡地でした。

空き地のちょうどまんなかに、
朽ち折れた老樹の株がありました。

その株を囲むようにして、苔が生えています。
すでに数十匹の猫たちが、あちこちでグループをつくって、
雑談をしていました。
なかには、誰とも会話せずに毛づくろいに励んでいる猫たちもいます。

薄汚れた猫や、毛の抜け落ちた猫もいます。
【森の集会】<中秋の顔見世>より抜粋
--------<ヤッタの冒険から>--------


母猫 「ほら白玉、あそこに固まってる猫たちが、
     演奏を担当している猫たちだよ。
     行って、挨拶しておいで。
     お前もあそこの仲間に入れてもらうの。
     母さんはね、ご近所の野良さんたちと聴くからね。
     演奏会が終わったら、お前のところに行くから」

白玉 「わかったわ」

白玉は、母猫から離れて、演奏仲間のところへ行きました。

(横笛の担当が私だけで、大丈夫かな・・)

そう思いながら、白玉が演奏猫たちを見渡すと・・

(あ!・・・)

白玉は驚きました。
演奏仲間のなかに、見覚えのある白猫がいたのです。

「小雪さん!」

小雪が白玉に気がついて、近づいて来ました。

小雪 「白玉さんね・・何時ぞやは、ごめんなさい」

白玉 「小雪さん、どうしてここに?お家へ帰れなかったの?」

小雪 「ええ。
     私も白玉さんと同じく、野良になりました。
     今、坂下に住んでますよ。
     ボスにお世話になってます
     私も白玉さんと同じく、笛吹き猫に。
     私はまだ上手く吹けませんが、
     一緒に頑張りましょうね」

小雪がちょっと照れながら言いました。

白玉は、小雪と再会できたことと、
小雪も笛吹き猫になっていたことが嬉しくて、
大きく頷きました。


にょめごと森には、集会の合図を知った猫達、
街中のノラ猫やハンノラ猫が、少しづつ集まってきました。

白玉は、離れた所に居たブラッキーの姿も確認しました。
が、ブラッキーのそばには、見知らぬ猫が2匹いました。
ブラッキーは、その見知らぬ猫と話をしているようでした。

(お友達と一緒なのね。
 じゃあ、声をかけるのはやめておこう)

白玉は、そう思って小雪のそばにいました。

そして、いよいよ会長猫が登場すると、
にょめごと森の集会が始まりました。

会長猫 「みなさん、ようこそ。
     本日の集会のテーマは、
     ゴミあさりのルールですぞ」

会長猫がゴミあさりのルールを一通り話し終えると、
白玉たちの演奏が始まりました。

森に集まった猫達は、命のゴミ箱の歌を唄い始めました。

白玉の笛
-次回へ続きます-

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13 【母猫のために・・】

緩やかな坂を下って、シャイの家が見え始めました。
白玉はシャイの家の屋根に向かって笛を吹いてみました。
屋根の上にブラッキーがいるなら、聴こえるはずです。

顔を見せないってことは・・
いないのね・・。

白玉はシャイの家を通りすぎて、母猫と住む塒へ戻りました。

「母さん、ただいま。
 ねぇねぇ、私ね、笛が吹けるようになったわ」

白玉が嬉しそうに言うと、寝ていた母猫は起き上がり、
がっかりした声で言いました。

「白玉・・、どこへ行ってたんだい?
 私は、あそこで待ってておくれと言ったじゃないの」

「あぁ・・ちょっと用事を思い出して・・」

「ああ、じゃないよ。まったく・・」

「母さん、ごめんなさい。
 やっと音が出たから・・
 誰かに聴かせたくて・・ごめんなさい」

「ご馳走は全部食べて出かけたんだろうね?」

「うん・・」

「なら、いいとして。小雪さんは、どこにもいなかったよ」

「そう・・」

「小雪さんを連れて来たって、お前が全部食べていたら、
 何も無かったということだけどね」

「ごめんなさい」

白玉は尻尾を丸めて素直に謝りました。
母猫は穏やかな顔で言いました。

「白玉、お前は・・まだまだコドモだねぇ。
 ひとつのことで頭をイッパイにして歩き回っていたら、
 車ってヤツに轢かれちまうよ」

「うん・・気をつけます。
 母さん、今日ね・・ハンノラのお友達の家へ行ったの。
 坂中のチャミさんとこ。そこで仔猫たちに会ったわ」

「そうかい。チャミさんとこの仔猫たち、もう大きくなってただろう?」

「うん」

「ハンノラさんはいいねぇ。
 自由気ままに、遊びたい放題、食べたい放題。
 コドモの世話も人間様に助けてもらえる」

「うん・・でもね、母さん・・」

白玉は、チャミと仔猫たちを思い出しました。
チャミの寂しさと哀しみも、思い出しました。

「なんだい?」母猫が、不思議そうに尋ねました。

「ハンノラさんには、ハンノラさんの哀しみもあるみたいよ」

白玉がしんみりと言うと、母猫は笑い出しました。

「白玉、どうしたんだい?
 チャミさんの愚痴でも聞いてきたのかい?」

「愚痴じゃないわ」

白玉は、苦労の多い母猫にチャミの話をするのは、
無意味にも思いました。

「母さん、私の音、聴く?」

白玉は、母猫の為に何か吹きたいと思いました。

「ああ、聴かせておくれ」

白玉は母猫に感謝の気持ちを込めて、心の安らぐ音を奏でました。
いつしか時は、夕暮れになり、母猫は優しく笑って言いました。

「なんだか、不思議な気持ちになるねぇ。
 白玉にそんな才能があったなんてねぇ。
 お前は、ほんとに笛吹き猫になったんだねぇ」

「母さん、ありがとう。
 ずっと一緒に暮らしていこうね・・」



白玉の笛
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12 【長老猫との約束】

白玉は、すっかり笛が吹けるようになりました。

チャミと仔猫たちに見送られて、坂上のハンノラ猫の、
長老トミ爺の家へ向かいました。

トミ爺の前で、うまく音が出せなかった時の、
いじけてしまった自分を思い出して、
ちょっと恥ずかしい気持ちで向かいました。

トミ爺は、納屋で横になっていました。

白玉 「お爺さん、トミ爺さん、白玉です」

トミ爺 「ああ、白玉さんかの」

白玉 「私、笛が吹けるようになりました。
     聴いて下さい。
     今度の集会に間に合いそうです」

トミ爺 「ほいほい・・どうぞ。吹いてみなされ」

トミ爺は横になったまま言いました。

白玉 「お爺さん、具合が悪いの?」

トミ爺 「いんや。どこも悪くない。力が弱くなっただけじゃよ。
     歳のせいじゃ。しかし、耳はまだ衰えておらん。
     どうぞ、吹いてみなされ」

白玉は、トミ爺がおととい会った時に比べて、
少し弱っているように見えました。

お爺さん・・具合が悪いの?
大丈夫かな・・。

白玉は笛を吹きました。

ひゅゆゆゆ~~~
細い光のような糸が、輝きながら空に舞うような音です。
そして、真夏の暑さを追い払うような、涼しい風の音が。

白玉は、トミ爺がいつまでも元気でいるよう願いながら吹きました。

トミ爺はシッポを微かに動かして、リズムをとっています。

トミ爺さんに聴いてもらえた。良かった・・。

白玉が吹き終わると、トミ爺はゆっくりと起き上がって言いました。

トミ爺 「白玉さんよ、わしは今度の集会に出られんかも知れん。
     しかし・・あんたの笛の音は、どこにおっても聴けるじゃろ。
     わしは、あんたの笛の音に乗って行こう・・必ず、必ず、
     集会で、今のをもう一度・・吹いてくだされ。約束じゃ」

白玉 「お爺さん、私、頑張って吹きます。約束する!
     ここまで聴こえるように。
     だから、集会の晩に具合が悪かったら、
     ムリして参加しないで。ここで聴いて?」

トミ爺 「ありがとうよ、白玉さん。
     どうやら、あんたは音が出るコツをつかんだようじゃ。
     もう、りっぱな笛吹き猫じゃ。
     良かった、良かった」

そう言ったトミ爺は、ゆっくりと体を倒し、
白玉に背を向けて、再び横になりました。
白玉は、なんだか哀しくなりました。

その時、白玉はトミ爺が集会の晩に天へ召されることなど、
想像もつきませんでした。
トミ爺は、生後18年目の長老猫でした。
自分に死期が迫っていることは、体の衰えで解っていました。

白玉 「お爺さん、また来るわね。元気でいてね」

トミ爺は、微かに耳を動かしました。
白玉は、坂上をあとにして、再び、
シャイの家へ向かいました。


白玉の笛
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11 【チャミの仔猫たち】 

チャミの家は大きな農家のようです。
母屋と納屋が繋がって、L字型のような屋敷が広い庭を囲むようにして建っていました。
母猫チャミの姿に気づいた仔猫たちが3匹、走り寄って来ました。
仔猫たちは毛艶も良く、丸々と太っていました。

チャミ 「春先に生まれたのですよ。もう、夏ですから、親離れです」

子猫たちは恐る恐る白玉のそばに来ました。

白玉 「仔猫ちゃんたち、こんにちは~」

仔猫たち 「こんにちは・・」

白玉は、ブラッキーにソックリな仔猫に気がつきました。

白玉 「もしかして、ブラッキーがお父さん?」

チャミ 「そう。そっくりでしょう?」

白玉 「ブラッキーが小さくなったみたいで可愛いわ(笑)
    このお家で、チャミさんは仔猫たちと一緒に過ごすのね。
    いいなぁ、安心して暮らせる毎日。
    羨ましい・・。うちは母とノラ暮らし。
    だからいっつも、ご飯の心配をしているの。
    最近は、人間様からも貰ってる・・。でもね、
    病気で食べられない時も、無理して食べるの。
    だって、食べなかったら・・イラナイのかって思われて、
    貰えなくなっちゃうの。
    母も私も、食べ物をおなかイッパイになるまで、
    食べたことがないわ・・」

白玉は、しゃべりすぎたようで、テレ隠しに背中の毛づくろいをしました。

チャミ 「白玉さん、お願いがあるの。
     この仔たちのために、何か吹いて下さいな」

白玉 「ええ?まだ何も吹けないわ」

チャミ 「何でもいいのです・・」

白玉 「今は無理だけど、吹けるように頑張ります。
     時々、こちらに遊びに来てもいいですか?」

チャミ 「もちろん遊びに来てください。でも・・
      その時、この仔たちはいないかも知れない」

白玉 「え?」

チャミ 「たぶん全員、よそのお宅へ里子に出されます」

白玉 「よそのお宅へ?里子?」

チャミ 「カワレ猫になります。私のこども達は、みんなそう。
     生まれて数ヶ月か、半年以内に、どこかの人間様のお宅へ。
     そろそろ、そんな時期なんですよ。私には解ります。
     人間様が、仔猫たちの写真を撮ってました。
     里子に出たら、二度と会うことはないのですよ。
     私のことも、忘れてしまうでしょうね」

チャミはそう言って、背中に飛び乗る仔猫たちの頭をなでました。

チャミ 「こうして一緒に居られるのも、あと少し。
     仔猫たちは、にょめごと森を知らないでしょう。
     猫の集会に出ることもないかもしれない。
     せめて、カワレ猫になる前に、集会の時の楽しい音楽を
     聴かせてあげたいと思いました」

白玉 「なら・・チャミさんが吹いてあげて?
     さっき、チャミさんが吹いたら音が出たわ」

チャミ 「白猫伝説って知ってるでしょう?
      白猫の横笛を聴くと幸せになれるという、あの伝説。
      白玉さんの音じゃないと。私じゃダメです」

白玉はチャミにじゃれつく仔猫たちを眺めました。

一緒に暮らしたことを思い出に?
このまま、ずっと一緒に暮らせないの?
人間様が決めてしてしまうの?

聴かせてあげたい。
チャミさんと仔猫たちの為に吹きたい。
ここでの楽しかったことを思い出す音。

白玉は、笛を握りしめて祈りました。

ああ、にょめごと森の神様、私の願いをきいてください。
この仔猫たちが、どこかのお家に貰われます。
そこできっと幸せになれますように・・。

夜の窓辺で香箱つくり、
孤独な思いに浸った時、
安らぎの音を思い出す。

にょめごと森の笛の音が、
遠く微かに聴こえた時に、
仔猫たちが思い出すよう。

母さんのこと、兄弟のこと、
楽しくみんなで遊んだ日々。

思い出になる音、私に下さい。
幸せになれる音、私に下さい。
この母仔猫たちの為に。
白猫の私に音を下さい。
 
白玉は、笛を吹いてみました。

ふぉぉふぉぉお~

(あ!・・)

それは、突然でした。

とても軽やかな、澄んだ音が出ました。
白玉は、思いつくまま吹いてみました。

仔猫たちはチャミに寄り添い、目を閉じて静かに聴き入りました。
子守唄のような、優しい音色が三毛猫親子を包みました。 

白玉も、笛を吹きながら、母猫への思いを馳せました。
いつも自分を守ってくれる母猫に感謝しました。

母さん、私たちは、おなかを空かせた毎日だけど、
優しい母さんとずっと一緒に暮らせるって幸せね。
ありがとう、母さん。

白玉の吹く笛の音は、もうしっかりとした音になっていました。
町中の外猫の耳に届いたかもしれません。


白玉の笛
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10 【白玉、三毛猫チャミと会う】

白玉は、シャイの家の屋根の上で眠っていました。

「起きて下さいな」

白玉に、誰かが声をかけています。

白玉が薄目をあけて見てみると、
初めて見る三毛猫が、隣に座っていました。

チャミ 「私の名前は、チャミと言います。
     ハンノラです。
     ここで、ブラッキーと待ち合わせをしています」

白玉は起き上がって、チャミを見つめました。
仔猫がいそうな母猫の体です。

チャミ 「ずっと、子育てをしておりまして、
     外に出たのは久々なんです」

白玉 「そうですか」

チャミ 「あなたのお名前は?
     ここで、何をしていたのですか?」

白玉 「私はノラ猫の白玉といいます。
     横笛の担当に選ばれた猫です。
     ここで、笛の練習をしようか、と。
     私もブラッキーを待ってました。
     音が出るようになったので、聴いてもらおうと」

チャミ 「そうですか」

チャミは優しい笑顔を浮かべました。

チャミ 「どうぞ、練習を続けて下さい。
     そのうちブラッキーも来るでしょう」

白玉は頷き、笛を構えて息を吹きかけました。
しかし、音は出ませんでした。

白玉 「あら・・まただわ。出たり出なかったり・・。
     どういうことでしょ」

白玉はウンザリしたような顔をして、
笛を足元に置きました。

チャミがその笛を取って言いました。

チャミ 「吹いてみてもいいですか?」

白玉 「どうぞ」

チャミは軽く息を吹きかけました。

ふぉおおおお~

白玉 「あ!・・」

白玉は驚いて、チャミから笛をひったくり、
自分も吹いてみました。
やはり、出ません。

白玉 「チャミさんが吹いたら音がして、
     私だと出ない・・。
     こんなことばかり続いているの。
     私が吹くと出ないの・・。
     なんだか、嫌になっちゃうわ」

チャミ 「白玉さん、ウチに来ませんか?
     仔猫がいて賑やかですけど。
     私の家は、坂中のはずれの一軒家です」

白玉 「ええ!私が遊びにいっていいのですか?
     行きたい!
     でも、チャミさんはブラッキーを待たなくてもいいの?」

チャミ 「たいした用事じゃないのです。
     今度の集会には出られないって言いに来たのです。
     それは後で、ご近所の誰かに伝言したらいいことです」

白玉 「なら!行きたいです!」

白玉は嬉しくて、すぐにチャミの家へ行きたくなりました。
 
ノラ猫は、できるだけハンノラ猫の友達が欲しいと思っています。
ハンノラ猫と友達になれば、困った時に助けて貰えるからです。
ハンノラ猫の家は、野良猫たちの縄張りに争いに巻き込まれない場所です。
喧嘩猫に出逢った時に、そこにハンノラ猫の知り合いの家があれば、
逃げ込める、一時でも喧嘩猫と縁を断てる、駆け込み寺もどきになるのです。

チャミは再び優しい笑みを浮かべて、屋根を降り始めました。
白玉とチャミは、坂中のはずれにあるチャミの家へ向かいました。


白玉の笛
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9 【白玉、シャイの家で・・】

(母さん、どこまで探しに行ったのだろう。
 そういえば・・母さんが言ってた。
 人間様のご飯を残したらいけないって。
 次から、ご飯の量がへってしまうと・・
 これは、食べてしまった方がいいのね・・)

白玉は、母猫が小雪のために残して待つよう言いつけた食べ物を
全部食べてしまい、しっかりお皿をカラにして、
トミ爺の居る坂上の家へ向かいました。

その途中で、ブラッキーのお気に入りの場所へも、
立ち寄ろうと思いました。

(トミ爺さん、褒めてくれるかしら。
 私にも音が出るようになったわ)

なんだか嬉しくてたまりません。
白玉は、ブラッキーの住むマンションのゴミ集積場に来ました。
まだ誰もいません。
それから、お隣のシャイの家を眺めました。

シャイとは、マンションの隣に立つ2階建てのお屋敷に住む、
美しいペルシャ猫のことです。
シャイは生まれた時から、片方の耳が聴こえませんでした。


白玉とシャイは、特に親しいわけではありませんでしたが、
外猫たちの間では、カワレ猫のウワサ話もよく出ました。
シャイのことは、ブラッキーから聞いていました。

白玉が、シャイの家を覗いていると、
2階の窓辺に居たシャイが気づきました。

シャイが「あら」と一声、小さな声を出しました。

庭の様子を眺めていた白玉にも、その声が聴こえました。
猫の聴覚が非常にヨイということは、人間様も知っています。

猫たちは、声を出さずに会話をすることができます。
目や耳やシッポで語ったり、匂いも暗黙の言葉になります。
オシッコなどの残り香で、自分の存在を知らせたり。
喜びも怒りも、声に出さずに語ることができました。
人間様には、想像もつかない猫たちの会話。

白玉は、その場に座らずに、シッポをダラリと下げたまま、
シャイの言葉を待ちました。
シッポを下げるという状態は、敵意のない気持ちが込められています。

ここはアナタの家で、お邪魔しているのはワタシです、
通りすがりです、すぐに立ち去ります、という意味を込めた体勢です。

シャイは優しい眼差しで白玉に語りかけました。

シャイ (私はシャイといいます。何か御用ですか?
      どうぞ、木陰にお座り下さい)

シャイの言葉に、白玉は瞳を輝かせました。
木陰に行って、きちんと前足を揃えて座り、
シャイに質問しました。

白玉 (シャイさん、はじめまして。
     お邪魔して、すみません。
     私は坂中の野良猫の白玉と申します。
     こちらに、ブラッキーが来ませんでしたか?)

シャイ (ブラッキー?・・ブラッキー・・)

白玉 (黒猫のブラッキーです。
     こちらのお隣のマンションに住む、
     ハンノラ猫のブラッキー)

シャイは一瞬戸惑いました。
けれども、すぐにもとの穏やかな眼差しで言いました。

シャイ (あのブラッキーなら、きっと屋根の上にいます。
      どうぞ、そっとお上がり下さい)

シャイはそう言うと、窓辺から姿を消しました。

白玉は、シャイの家の屋根へと続く柿の木に登りました。

けれど、そこにブラッキーは居ませんでした。

(カワレさんたちのお散歩には、まだ早い時間なのね)

白玉は屋根の上で笛を吹いてみました。
けれど、昨夜のような音がしません。

(おかしいわ・・。
 これじゃあ、トミ爺さんの所へ行っても笑われるだけ。
 なんとか音を出さなくちゃ)

白玉は、いつもより沢山の朝ご飯を食べてしまったので、
気持ちよく眠くなっていました。

昇り始めた太陽が、シャイの家の屋根にも当たり始めました。
遠くに見えるにょめごと森も、青々と浮かんで見えました。
暑くなりそうな1日の始まりです。

白玉は・・ウトウトしてきました。

(ブラッキーが言ったとおりだわ・・
 確かに、ここは眺めもいいし、風もあって涼しい。
 居心地がいいわ)

そう感じているうちに、とうとう・・
笛を抱いたまま、眠ってしまいました。

白玉の笛
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8 【野良猫たちの朝】

夜が明けて、白玉と母猫は食べ物を探しに出かけました。
白玉は、竹笛を持って行きました。

まだ人通りの少ない朝の商店街通りを歩きます。

野良猫の食べ物・・人間が食べ残して捨てた物・・
そう都合よく簡単には、見つかりません。

町のゴミ集積場では、野良猫やカラス予防にと、
網がかけられたり、ゴミ箱にはフタがしてあります。

しかし、なかには、ゴミ集積場だから捨ててもいいかと、
人間様の食べ残した弁当がゴミ箱のフタの上に、
むきだしで置いてあります。有難きご馳走。
仮に、それを食べてお腹を壊してしまっても・・。

野良猫たちの間では、ゴミあさりのルールがあって、
自分のテリトリーの範囲でしか、食べ物を探せませんが、
人間様が野良猫たちの為にエサを置く場所もありました。

うまく、その餌場が自分のテリトリー(縄張り)のなかにあれば、
ボス猫のごとく、堂々と最初に食べることができます。
テリトリーから外れていると、なかなか食べに行けません。
野良猫たちの体格に差があるのは、そのせいもありました。

<俺たちの飯は、ちびちびでもいいから、
  場所をかえて置いて頂きたいニャ!>

<そうすれば、野良猫が集まっても、
  群れているように見えないニャ!>

<俺たちが、同じ場所に群れていると、
  仲間狩りをされて困るのだニャ!>

と、野良猫たちは思っていました。

 
白玉親子の縄張りのなかにも、そんな餌場がありました。
まずはそこへ立ち寄ります。
いつも、決まった時間に置いてあります。
白玉親子は、その時間を知っていました。

母猫 「白玉、先にお食べ」

白玉 「うん」

白玉親子は交互に辺りを気にしながら食べました。
白玉親子を遠くで見つめる人間様の姿がありました。

母猫 「有難いねぇ。でもね白玉、
     どんなに人間様が優しく声をかけても、
     近寄って来たら逃げるんだよ」

白玉 「うん、解ってる」

母猫 「突然、殴りつける人間様もいるからね」

白玉 「うん」

母猫 「そこいらに、小雪さんがいないか、
     見てくるよ」

白玉 「じゃあ、少し残しておいた方がいいわね」

母猫 「そうだねぇ」

白玉 「解ったわ。ここで待ってる・・」

母猫は、餌場から離れていきました。

小雪さんが無事ならいいな・・
母さんが、小雪さんに会えたらいいな・・

白玉はそう思いながら、竹笛を吹いてみました。

すると、柔らかな音がふぉ~と出ました。

あ・・音が出たわ・・。
私、吹けるかもしれない!

白玉は嬉しくて何度も吹いてみました。

ふぉ~ふぉ~ふぉ~・・
ちゃんと音が出るわ!
ブラッキーとトミ爺さんに知らせなきゃ。

白玉はじっとしていられない気持ちになりました。

でも、母猫が戻ってこないうちは動けません。
 

-次回へ続きます-

※小雪が2週間の放浪を経て、戻りました。
  皆様、ご心配をおかけしました。
  どうもありがとうございます。
  励ましてくださったブロガーのお宅へ伺うべきですが、
  記事に無関係のコメントを控えさせて頂きました。
  この場にて、お礼の気持ちを書かせて頂きます。
  本当に、どうもありがとうございました。/駒吉


白玉の笛
-次回へ続きます-

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プロフィール

美月

Author:美月
家族は、夫と母と愛犬3匹、愛猫3匹、熱帯魚。
2015年春まで都内在住。
2015年春から隣県の実家暮らし。

2017年秋、放置気味のブログをこちらに移行して、ワンコ日記を再開。
再開のキッカケは、きくみみに、弟分(たび)ができたから。

ガーデニングブログも、こちらに移行しました。

【主 now The きくみみ&たび】とは、
【シュナウザーきくみみ&たび】
主人公(主犬公?)は愛犬たちという意味です(^^)

-------------------------
注)
2017年10月以前の記事のページは、3つのブログがこちらに移行されていますので、
記事内容のダブりがあります。
少々ウザイ状態ですが(^^ゞ
リンク先が不明ページも(ここに移行して載せていますので)実は、あるのですょ。


猫の創作話は【駒吉(愛猫の名前)】で綴っています。

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