主 now The きく♥みみ&たび 2006年04月

8) 期待ハズレの当たりクジ

翌朝、目が覚めたヒゲは、メイには声をかけずに、
しおれた当たりクジを耳に引っかけ、
坂下の野良猫たちが集まる自分の餌場へ行きました。

通りに面したコンビニの横にあるゴミ箱には、
人が捨てた弁当の残りがありました。
とりあえず、それを少し食べて腹ごしらえをしました。

野良猫仲間は、まだ誰も来ていませんでした。

ここは・・俺の他に7匹の野良猫の餌場だ。
ここで6匹分のメシを余計に取れないだろうなぁ。

ヒゲは、ちょっと離れた餌場に向かいました。

話し好きの雌猫、マーゴが朝早くからゴミあさりをしていました。

「おっす!マーゴ、そのメシとコレと、
 餌場のひとつと交換しないか?」

「え?あぁ、当たり草ね?・・うーん」

「お前の話なら、絶対優勝するよ!優勝したら、
 この町全体のゴミあさりができるんだぜ?」

「うーん。これでいいなら、交換するけど、
 私の餌場は2箇所だけよ。譲れないわね」

マーゴは、人間が食べ残して捨てたハンバーガーのカケラを
ヒゲに差出しました。

「なんだ・・それだけかぁ」

「昨日から人間たちは長いお休みなのよ?
 ゴミなんか出やしないわ。
 このあたりは、お仕事人しかこないでしょ?
 お仕事のない日は、人も来ない。
 人が来ないと何もないのー。
 そのクジ、私にくれるの?」

「いや、こっちは、6匹分のメシと餌場が必要なんだ。
 他をあたるよ」

「なんっ!
 なら、声をかけないでよっ!忙しいんだからっ。
 ボスに内緒で何かすると、追い出されるわよ」

「ははは~。
 内緒じゃないよ。これから言うよ。
 まぁ、がんばってくれ」

ヒゲは、別の餌場へ向かいました。
そこでも、同じような会話をしましたが、
餌場まで譲る猫はいませんでした。

なんだか雲行きが怪しいなぁ。
メイにはデカイこと言っちまったし・・。
坂中や、坂上に行くわけにもいかねぇしなぁ。
坂下の連中は、明日のステーキより今日のパンくずが大事かぁ!
かもしれねぇなぁ・・。

それでもヒゲは、何箇所か、ゴミあさりのできる場所をあたって、
最後の所で情報屋の野良の雄猫、ミミスケに会いました。

「よぉ、ミミスケ、これと、あんたの餌場のひとつと交換してくれないか?
 明日の大会で、あんたが優勝すれば、」

ヒゲがそこまで言うか言わないうちに、
ミミスケは首を横に振って言いました。

「ヒゲ、知らないのか?
 坂中のボスの娘猫が、当たりクジを引いたって話よ。
 坂中のボスが、坂中界隈のハンノラたちに根回ししてるって。
 ハンノラの数からいったら、坂中には大勢いるだろう?
 これは内緒の話だけど、ヒゲがどんな面白い話をしたところで、
 負けるんだよ。勝負はついてる」

「なん!
 ・・そういうことか」

ヒゲは苦笑して、坂下のボス猫の所へ向かいました。
その途中に、ヒゲのねぐらもありましたが、
ヒゲは自分のねぐらに立ち寄りませんでした。

ボス猫のねぐらに着いたヒゲは、あいまいな、
というよりも嘘の報告をしました。

捨て子猫が6匹、にょめごと森に居ると報告しました。
捨て子猫は、全員、雄かもしれないと報告しました。

それを聞いたボス猫は、面倒臭そうに言いました。

「ヒゲに任せるよ。
 だが、そいつらは、暫くほっておけ。
 そいつらが、坂下に来たら、俺のところへ連れて来い。
 坂中か、坂上に行くかもしれんだろ。
 なにも男猫どもを無理に坂下へ引っ張ることはない。
 にょめごと森に居る間は、ほっておけ。
 人間さんが拾ってカワレになるかもしれんしな」

「ですね。様子を見つつ、ほっておきます」

ヒゲは、メイも含めて子猫だと報告しておきました。

メイが年頃の雌猫だと知れば、ボス猫はきっと見に行くと言い出し、
どことなく品のあるメイでしたから、気に入られること間違いなしだと、
ヒゲは思いました。
ボス猫のお気に入りになってしまったら、気軽に会話もできません。
それは嫌だと思いました。


メイが坂下の野良猫になれば、当然、ボスのところへ行くだろうが、
ハンノラになれたら、自由の身だ。
せめて、メイの家でも決まればいいな・・。
そろそろ戻るか、にょめごと森へ・・。
その前に、何かチビたちに食い物を探すか・・。

ヒゲは、再び、自分の餌場に戻り、
エビのテンプラのカケラを銜えて、
にょめごと森へ向かいました。

しおれた当たりクジは、
むなしくヒゲの耳に引っかかっていました。

にょめごと森の神社では、メイが子猫たちを連れて、
水呑場へ向かうところでした。
 
 
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7) 野良ヒゲの思い

「そういうわけで、メイ、あの仔は助かる。良かったな」
「はい。ヒゲさん、本当にありがとう」

メイは心からヒゲに感謝しました。

「で?チビたちは喉が渇いてるって?」
「はい。私も・・」
「じゃ、水飲み場まで、みんなを連れて行こう。すぐそこだよ」
「でも・・」

「なぁメイ、これからは歩いて食い物を探すんだ。
 じっとしていても、飯は出てこないぜ?
 チビちゃんたちの為にもな、早めに野良暮らしを覚えさせないと」

「・・・」

メイは縁の下に向かって、子猫たちに出てくるよう呼びかけました。

「みんな、お水を飲みに行きましょう」

子猫たちは一斉に鳴き始めました。「いやだー」「いやだー」

「じゃあ、私とヒゲさんは、飲みにいきますよ。
 ここに水を持ってきてくれる人間はいないのですよ?」


「いやだー」
 「ココはイヤだー」
「ヤダニャー」
   「ニャーだ、ミルク」
  「喉が渇いたーミズー」
「ニャーズ」「ミャーズ」
  「ミャーズ」「ミーズ」

メイはヒゲの顔を見て、うなだれました。
ヒゲが縁の下に向かって、怒鳴りました。

「鳴くな!猫さらいが来るぞ。
 いいか、お前ら、おいしい水だ!
 ミルクの味がするって噂だ!
 行かないなら、俺が全部飲んでやるからなっ!
 俺とメイは行く。お前らはここにいろ。
 何だって早い者勝ちだぜ」

縁の下はシーンと静まりました。

ヒゲはニヤリとして、縁の下を離れ、 
境内の真ん中にある神木のようなサワラの影から、
メイを手招きしました。メイが縁の下から離れると・・

「メイ姉さん!私、行く!」
エルの次に小さい子猫が出てきました。

すると、「僕も行くよ」「私も」「僕も」・・
残りの4匹の子猫たちも、ぞろぞろ出てきました。
 
「メイ、この神社を抜けて、人間たちの遊歩道に行けば、
 水呑場があるよ。この季節は雨水も溜まってる。
 必ず、水は飲めるよ」

「ヒゲさんは?」

「俺も行ってやるから安心しな」

「ありがとう。ヒゲさんが一緒なら心強いです」

ヒゲは最初に出てきた子猫を背中に乗せて、歩き出しました。
子猫はヒゲにしっかり、しがみつきました。

なんだか、いい気分だぜ。
俺にも家族ができたみたいだ。
メイは、野良猫社会のことは何も知らない。
喧嘩や、ゴミあさりも見たことがないだろう。
俺に頼り切っている。
今まで誰かに、こんなに頼られたことがあったか。
こんな俺でも、メイと子猫たちは守れるかな・・。

ヒゲはちょっとテレ臭くなって、メイの先を歩きました。

「ヒゲさん・・」メイが後ろから声をかけました。

「ん?なに?」
「私、思うんですけど・・」
「何?」
「私たち・・」

「うん?私たち?(って・・俺とメイ?)」

「私たち・・本当に、捨てられたのでしょうか?」

「あ?・・あぁ、人間にってこと?」

「私は、まだ信じているんです。
 迎えに来てくれるんじゃないかと・・」

「来るもんか!
 猫飼いにはな、そういう人間もいるんだよ。
 諦めろよ。忘れろ!俺が、ちゃんとしてやるから」

「・・・」


水飲み場まで、子猫たちはおとなしく付いてきました。
溜まっていた雨水を飲みだすと、文句を言いはじめました。

「おじさんの嘘つき・・ミルクの味はしないニャー」
「嘘つきー」「ウソツキー」「嘘つきー」「ニャーツキー」

はぁ?なんだ?こいつら・・

「ヒゲさん、ごめんなさいね。
 この仔たちは、お世話になったら感謝するということを
 知りません。お礼の言葉を知らないのです。
 私が少しづつ教えていきます。
 今は許して下さい。
 私も同じなのです。何も知りません。
 これからも、ヒゲさんにはお世話になります。
 失礼なことが多いと思いますが、
 どうぞ、見捨てないで、教えて下さいね」

「あいよ!
 まとめて面倒みてやるさ!
 俺な、当たりクジ持ってるんだ!
 猫夜話大会の弁論参加資格の当たり草さ。
 口下手だから、その草を話したいヤツにやる。
 そんときに、条件を出してみるよ!
 子猫たちが安心して食い物にありつけるよう、
 商店街の餌場と交換するんだ!」

「まぁ!すばらしい!
 この仔たちは生きていけるのですね」

「もちろん。この町で生きていくんだ」

神社に戻って、メイたちが縁の下へもぐりこむと、
ヒゲは縁側に上がり、しおれた当たりクジを握りしめ、
そのまま、そこで香箱を組みました。

今夜の俺は、メイたちの用心棒だ!ずっとそばに居てやる。
と、思いつつ・・
いつのまにか、いい気分で眠ってしまいました。

ヒゲは、初めて坂下のねぐらへ帰りませんでした。
 
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6) 子猫のゆくえ

にょめごと森の神社は、ひっそりとしていました。
社の縁の下には、メイたちがいるはずです。

ヒゲは一瞬ためらいました。
このまま、メイに声をかけずに、当たりクジだけ持って帰ろうか、
声をかけたところで、何も進展はないのだから。

ヒゲは、足音を立てずに社の縁側に上がり、
メイたちの居る縁の下の上をゆっくり猫足で歩き、
ダンボール箱のそばに来ました。

たしか・・
このあたりに・・置き忘れたはず・・。


縁の下から、メイの呟く声が聞こえてきました。

「一筋に光る神様へ
 一筋にお祈りいたします。
 どうか、どうか、この仔を助けて下さい。
 エルを助けて下さい。
 エルを助けて下さい。
 エルを助けて下さい・・」

ヒゲは、メイの呟きを聞きながら、
自分がここへ置き去りにされた晩のことを
思い出しました。

「一筋に光る神様へ
 一筋にお祈りいたします。
 お祈りいたします。
 この仔はとても小さいから、
 あなたの光が必要です。
 どうか、この仔に目の輝きを・・
 どうか、あなたの光を分けて下さい。
 どうか、この仔に目の輝きを・・
 命を助けて・・

 一筋に光る神様へ
 一筋にお祈りいたします。
 お祈りいたします。
 この仔を見捨てないで下さい。
 エルを見捨てないで下さい。
 エルを見捨てないで下さい・・
 お願い・・」

メイは夢中で祈っていました。

見捨てないで、か・・。
ヒゲは当たりクジを見つけて、握り締めました。
そして、縁側から飛び降り、思い切ってメイに声をかけました。

「メイ、ごめん。
 戻ってきたのは、忘れ物を取りに来た。
 まだ何も解決策が浮かばないんだ。すまん」

「あぁ!ヒゲさん!おチビちゃんが!
 一番小さいエンジェルが!
 こんなに弱ってしまって。どうしましょう」

メイが縁の下から、小さな子猫を銜えて出てきました。
ヒゲの足元に置いた、その子猫はぐったりしています。

「ああ、これは、衰弱しきってる!
 脱水もしてるぜ!まずいな」

ヒゲが言うと、メイが哀しげに頷きました。

「みんな、喉が渇いてるのです。
 特に、この仔は・・エルは・・
 エンジェルは、まだミルクも必要なのです。
 どうしましょう・・」

「どうしましょうと言われても・・」

「母猫が亡くなってから、人間が用意をしていました。
 私には・・どうすることもできません。
 私たちは、無力、なのですね・・」

メイは、しくしくと泣き出し、
ヒゲは、子猫を見つめて途方にくれました。

俺は・・
このまま、この仔が死んでゆく様子を見てるのか!

その時、背後から声がしました。

「私の妻猫のとこへ運ぼう。助かるかもしれない」

チャンプの声でした。

「チャンプ、あんた・・いいのか?」

「ヒゲ、私はその仔を妻猫のところへ運ぶ。
 お前さんにも付き合って貰うよ。
 妻猫が誤解をするといけないからね。
 お嬢さんは、そこにいなさい」

メイは、不安げにヒゲの顔を見つめました。

「メイ、こうしていても、この仔は助からない。
 チャンプの奥さんは、仔持ちだそうだ。
 もしかしたら、助けてくれるかもしれない。
 任せてみよう」

「ええ。宜しくお願いします」

メイが返事をすると、チャンプは子猫を銜えて歩きはじめました。
ヒゲも隣を歩きながら、瞬き合図で、チャンプに問いかけました。

(いいのか?あんた・・
 自分の仔供探しをするって言ってたじゃないか?)

(私も父猫のはしくれ。
 子猫が捨てられたと聞いて、やはり気になった。
 この仔は、ダメかもしれない。
 だが、あそこで死なすわけにはいかないと思ったのだよ)

(助かったぜ!ありがとう)

ヒゲとチャンプは、交代で子猫を銜えて、
坂下のチャンプの妻猫の家まで運びました。
チャンプの妻猫の家は、道路傍に駐車場、
その奥に玄関のある一軒家でした。


「人間は寝ているかもしれない。妻猫はこの家の中だ。
 玄関は戸締りしてある。夜が明けないと出して貰えない」

「どうするんだ?」

「まず、ここにこうして子猫を置いておく。
 次に、大声を出して、私の妻猫を呼ぶのだ!
 妻猫の名前はコニャ。
 私たちは、コニャを呼ぶ。
 人間が出てきたら、素早く隠れる。
 いいか?」

「OK!よーし!いくぞー」


「我が妻のコニャー!コニャー!おーぃ!コニャー!ここへ来てくれ」
「コニャさーん!コニャー!子猫を助けて!コニャさーん!」
「コニャ、私たちの子猫は、まだ見つかっていないが、
 死にそうな捨て子猫を拾ってきてしまった!一緒に育ててくれ!」
「コニャさーん!あんたらの子猫は、俺も探すよ!だから助けてー」

コニャー、コニャー・・ゴ、ニャーゴ・・コニャー・・

ヒゲとチャンプは、大声でいつまでも鳴きまくりました。

玄関の向こうに、チャンプの妻猫、コニャがいるようです。
コニャも返事をしました。

「チャンプ、私たちの子猫は行方不明ではなかったの。
 人間さまに、貰われていったそうよ。
 ですから、探さないでいいのよ・・」

「なんと!そうだったか?」

「はい。先ほど・・2番目の子猫も・・この目で確認したの。
 人間さまは、私を気遣って、知らぬ間に連れて行ったのね」

「なんと・・。それでは、コニャ、」

チャンプが何か言おうとした、その時、
パッと玄関が明るくなりました。

(ヒゲ、人間が起きてきた!隠れるんだ!)

(あいよ!)

ヒゲとチャンプは玄関先の車の下へ潜り込みました。
人の姿が見え、話し声が聞こえてきました。

「コニャ、なんだって、こんな夜中に鳴いている!うるさいぞ!」
「外に野良猫がいるんですよ。あなた、追い払って下さいな」

ガラガラガラと、玄関の引き戸を開ける音がしました。
家人は、玄関の明かりに照らされた子猫を見つけました。

「あれぇ~!ここに子猫がいるぞ~!お前、どこから来たんだ?」
「えーどこ?あらま、ほんと!まだ小さいわねぇ。可愛いじゃない」
「コニャの子猫か?・・なんだろ?この子猫!」
「だからコニャが鳴いていたんですね。ホホホ、
 とにかく、コニャに会わせてみましょ」

玄関の入り口で、子猫を見つけてかがみ込む人の後ろに、
コニャがちょこんと座っていました。
ヒゲとチャンプに、瞬きの合図をしています。

(チャンプ、この仔は私に任せて!
 大丈夫よ・・必ず助かるわ)

ヒゲは素早く頭を下げて、瞬き合図で、お願いしました。

(俺は野良ヒゲと申します。
 突然ですみません。
 この度は頼みます。
 このお礼は、いづれまた!)

コニャの瞳がヒゲとチャンプに向けてキラリンと光ったと同時に、
子猫を拾い上げた人間が、引き戸をぴしゃりと閉めました。

あたりはシーンと静かになり、玄関はすぐに暗くなりました。

「チャンプ・・ありがとうよ」

「私の子猫は、里子に出されたようだね。
 いつの時も・・突然そうなる。
 さよならも言えないまま、いなくなってしまう」

チャンプが初めて哀しげに苦笑しました。

「いつか、どこかで会えるさ、チャンプ。
 いつか、どこかで、大きくなった子猫たちにさ」

「いや、会わないでいい。
 逢えたところで、お互い、覚えてもいないだろう。
 カワレ猫として、一生、大事にされる暮らしを願う。
 さて・・
 私は家に帰るが、お前さんは・・?
 ブラッキーは、彼女猫と過ごしているのだろう。
 今夜は待っていても、あの部屋には戻らないだろうね」

「俺は、今からメイに報告するか。一件落着、ってね」

「では、ヒゲ、私が関与するのはここまで、ということで。
 ごきげんよう!
 今後のことは、コニャから様子を聞くといい」

チャンプは、夜の闇に消えていきました。

次回へ続きます・・

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5) 父猫チャンプ

屋敷の裏へ廻ると、そこには、一本の大きな柿の木があります。
柿の木に登ると、屋敷の2階の屋根へ飛び移ることができました。
ヒゲは慣れた足取りで、屋根に登っていきました。

あいつ、いない。
まだ戻ってないか、もう部屋で寝ているか、だ。
少し、待ってみよう。

ヒゲは屋根から柿の木を見つめていました。
暫くすると、同じように屋根に登ってきた黒猫の姿が見えました。
ヒゲは、先に瞬きで合図をしてみました。

(待ってたよ、ブラッキー。俺は坂下の野良ヒゲだよ)

すると、黒猫はいったん立ち止まり、ヒゲをじっと見つめました。
朧月夜に照らされた、黒猫の瞳がキラリンと光りました。

(あ、ブラッキーじゃない!)

「そう。私はブラッキーじゃないよ」

その声は、確かにブラッキーではありませんでした。
第一、ブラッキーなら、深夜に声を出すはずがありませんし、
こんな時は、無言の会話である瞬き信号で返事をするはずです。

黒猫はヒゲのそばまでゆっくりと歩いて来ました。
その顔には見覚えがありました。


「もしかして、あんたは・・
 坂下のハンノラのチャンプ・・」

「お前さんは、野良ヒゲだね」

「坂下の猫が、なぜこんなところに?
 ここは、坂中のテリトリーだぜ?」

「お前さんだって坂下住まいの猫じゃないか」

「俺は、この隣のマンションに住んでいるブラッキーに用があったんさ」

「私もだ」

「なんの用さ?」

「彼に協力を求めに来た。
 お前さんに言う必要はない。
 すまんが、ブラッキーが戻って来たら、
 私の用事を先に言わせてもらえないか?」

「だめだね。
 こっちは、困ったことが起きて、急いでいるんだ。
 今来たばかりのあんたに、どうして譲れるか?」

「お前さんの事態より、大きなことかもしれない」

「聞かないうちから決め付けるな。
 俺の困ったこと、のほうが大きい!
 夜が明ける前に、なんとかしたいことなんだ!」

ヒゲは、にょめごと森の神社での出来事をチャンプに話しました。
チャンプは、呆れたように言いました。

「ヒゲ、そんなことは、どうにもなりゃしない。
 なるようにしか、ならないことだ。
 その猫たちは、いずれノラになるか、
 カワレになるか、ハンノラか、だ」

「俺は、ブラッキーの意見が聞きたくてここに来た」

「それは、ヒゲ、
 意見じゃなくて、判断してもらいたいのではないか?
 見捨てるか否か、ブラッキーに決めてもらいたいんだろう。
 自分で決めることが、後ろめたいのではないか?
 見捨てることは、悪いことじゃない。
 仕方がないことだ。
 自分で判断して行動するのだ。
 そうしたからって、誰もお前さんを責めない。
 ブラッキーが戻って来たら、先に相談させてくれ。
 私のほうも、急いでいる・・」

「もう、部屋に戻っているかもしれないぜ?」

「私は何時間でも、ここで待つ。
 ここが彼の外出する通り道だと聞いている。
 必ず、ここで会えるだろう」

「ブラッキーじゃないとだめなのか?」

「私の大切な仔供が1匹、妻猫の家からいなくなった。
 妻猫は、夜は家から出られないハンノラだ。
 ブラッキーは、何度か猫夜話大会で優勝している。
 だから顔が広い。
 坂下、坂中、坂上の野良猫仲間もいるらしい。
 坂上の長老猫とも親しいと聞いている。
 仔供のことを一緒に訊いて廻ってもらう。
 私は今・・仔供のことで頭がいっぱいだ。
 私は父猫として、見捨てることはできない」

チャンプの瞳がキラリン、と光りました。
そしてその瞳から、流れ星のような小さなしずくが、
足元にポツリンと落ちました。

「わかった、チャンプ・・。見つかるといいな。
 ブラッキーなら、快く手伝ってくれるよ」

ヒゲは、屋根から退散しました。

確かに俺は、自分が見捨てたと思われたくなくて、
ブラッキーを巻き込もうとしていたんだ。
ブラッキーに決めて欲しかったんだな。

何もできなくたって・・恨まれることはない。
仕方がないことだものな。俺の時のように。

帰ろう・・。坂下のねぐらへ・・。

ふと、チャンプの言葉が思い出されました。

『ブラッキーは、何度か猫夜話大会で優勝している。
 だから顔が広い。・・』

猫夜話大会!そうだっ!
俺、その当たりクジを引いたんだ!
優勝はともかく、そのチャンスを手に入れた!
あの草・・当たり草を!ああ!
あの神社に忘れてきた!

戻りたくない・・
メイになんて言う?

だけど・・あのクジは、惜しい。
あの当たりクジは、メシのタネにもなるシロモノじゃないか。
仕方がない、戻るか・・。
まったく、仕方がないことが、ありすぎるよなぁ。

ヒゲはため息をつき、再びにょめごと森へ向かいました。

その頃、にょめごと森では・・
ヒゲの予想外のことが起ころうとしていました。

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サルナシとマタタビ談

今日は、猫の好きなマタタビの木と、
それに似た木のサルナシの木について、
少し余談を書きましょう。

<サルナシの木>

去年、実の付いたサルナシを園芸店から手に入れました。
サルナシは別名コクワヅル(小桑蔓)ともいいます。

店の人が『これが、マタタビの親戚のサルナシです』と、
言ったんですね。
猫が寄ってくるのか?と聞いたら、『かも知れぬ』と。(爆)

試してみるか?もし無反応でも、果実酒ができるわぃ!
ムダにはならない!と思って買ったわけです。

実は、キウィフルーツのような味だそうですが、
キウィはシナサルナシというものの改良種だそうで。
確かに、サルナシの実は、サクランボくらいの、
梨のような、キウィのような、形
をしています。
サルの食用だとかで、サルナシ(猿梨)というネーミングが(笑)

去年は、うっかりエアコンの室外機に当ててしまい、
実が全て熟さぬうちに落ちてしまいました。残念。
落ちた実を猫の鼻先へ持っていきましたが、
しっかり無視された記憶があります。

サルナシは猫が好むか否か?=うーん無関心かも?

物語(ヤッタの冒険)では、猫が好むイメージで描いていましたが、
我が家の猫では、今のところ実証されておりません(^^ゞ
ですから猫大好きサルナシ~(^^)は、多少フィクションです。
(いや、この猫物語自体全体かなりフィクションなのですが(^^ゞ)


写真をご覧下さい(^^ゞ(続きもアリマス)
猫、サルナシの葉を見事に無視!

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4) 姉貴猫メイ

ヒゲは驚いて聞き返しました。

「え?」

「私たちに、話しかけないで下さい。
 あなたの病気はなんですか?
 うつる病気じゃないでしょうね。
 とにかく私たちは、ここで待っているんです」

雌猫は、箱の中から慣れない声色で、
フーフーと威嚇の声を出しました。


「はぁ?どういうこと?」

「順番を待っているんですよ!」

雌猫の、慣れない威嚇の声色を聞いて、
子猫たちがミャーミャー鳴きだしました。

「あなたのせいで、弟妹達が鳴いています。
 鳴かせてはダメなんです!
 おとなしく順番を待たないと!」

ヒゲはムっとしました。
(親切に声をかけてやったのに、なんて言い草だろ。
 病気をうつすなって?
 それが挨拶の言葉か?
 いいさ、こんなとこに用はない。帰ろ)

ヒゲが縁側を降りて、石段を降りようとしたときです。
背後から「あああ!」と驚き叫ぶ声がしました。

「ここはどこなの?病院じゃないの?
 私たちは、どこにいるのでしょう!」

先ほどヒゲに帰れと言った雌猫が、
箱の中から顔を出して、あたりを見回し、
真っ青になっていました。

「だから、外を見ろって言ったんだ。
 ここは、にょめごと森の中の神社だよ」

「病院だとばかり・・思っていました。
 車に乗って、いつものように・・」

「あんたら、ここに捨てられたのさ」

「・・・」

「あんた、この子たちのお母さん?
 親子で捨てられたのか?」

「いいえ。私は姉です。
 私たちはきょうだいです。
 私の名前は、メイといいます。
 私たちの母は、この最後の子猫たちを産んで間もなく、
 亡くなりました」

「そう。
 とにかく、あんたらは、ここに置き去りにされたんだよ」

「置き去り・・まさか」

「そう、そのまさか、さ。
 これから、どうするの?」

箱の中から、再びミャーミャーと鳴く声がしました。
メイは姉らしく、優しい声をかけて子猫たちを黙らせました。
ヒゲは自分が捨てられた時の様子を思い出して、切なくなりました。


「メイ、箱から出た方がいいよ。
 あんたが箱の中で俺を威嚇するから、
 弟妹猫たちが騒ぐんだよ」

「そうでしょうか?なら、出ます」

ヒゲに促されたメイが、箱から出ました。
メイは、三毛猫もどきのブチ模様の和猫でした。
子猫たちより1年早く生まれた姉猫でした。

1年もたてば、りっぱな大人猫でしょう。
けれどもメイは、生まれて以来ずっとカワレ猫でした。
何の心配事もなく、ぬくぬくと暮らしてきたのです。
大人になっていたからといっても、生きていく知恵は子猫と同じです。
何も身についていませんでした。

1年目にして突然に、自分の意思でもなく、
屋外へ放り出されてしまいました。
その戸惑いは、大きなものでした。

 
「状況は悲惨だな・・。
 その箱はでかすぎて、弟妹猫たちは自力で出られないだろ。
 それに・・出ても命取り、出なくても命取りか」

メイは瞳を潤ませました。

「あんた、泣いても詮無いよ。
 今晩じゅうに、生きていく方法を考えるんだな」


「・・あんた、って言わないで下さい。
 私にはメイという名前があります!」

「名前かぁ。
 俺にもあるよ。ヒゲ。
 そう呼んでくれる人間は、もう・・。
 ま、いっか。
 メイ、ここは明日になれば人が来る。
 日が昇れば、メイの知らない人間たちが来るよ。
 その子たちは見つかってしまうね」

「・・・」

「何をされるか、わからない」

「・・・」

箱の中から、子猫の声がしました。

「メイ姉さん、どこに居るの?
 メイ姉さん、どこ?どこ?」

メイは箱の中を覗き込んで、一際大きく鳴いていた小さな子猫に、
待っててね、と声をかけたあと、ヒゲの顔を見つめました。
猫達の暗黙の会話は、瞬きで解ります。
メイは、瞬き言葉でヒゲに不安と哀しみを伝えてきました。

(ヒゲさん、私たち、どうなるのでしょうか?)

(うーん・・)



「とにかく、メイ、箱の中はまずいよ。
 下に降ろそう。
 この縁側の下の奥に隙間があるよ。
 簡単に人間が手を出せないところまで、
 移動するんだ」

「ええ・・そうしましょう」

ヒゲは箱の中に入り、いやがる子猫を銜(くわ)えました。
メイも銜えて運びました。
6匹の大中小の子猫たちは、縁の下の奥のほうへ運び出され、
みんなで固まっています。

「とりあえず、これでよし!」

「ええ」

「俺は一旦ねぐらへ戻るよ。また来るから」

「すみません」

メイがヒゲを見送ろうと、縁の下から出ようとすると、
「メイ姉さん、メイ姉さん・・」と、一番小さな子猫が、
メイにしがみ付いて離れようとしません。

メイは縁の下の奥の方から、ヒゲに言いました。

「夜が明けたら、必ず来て下さい。
 私たちを見に来てください。
 ヒゲさん、お願いします」

「うん。
 誰かに相談してみるよ」

ヒゲは神社をぬけて、ねぐらの坂下へと歩き出しました。

しかし困ってしまいました。

ああ・・
誰かって、誰に相談するか?
会長猫はもう帰って寝てるだろうし・・
ボスに言えば、野良猫仲間にされちまう。
あのチビたちは、坂下にはいられないだろう。
ボスのガキ猫のオモチャにされるかもしれない。
まだ、あの子猫たちには未来があるってもんだろ。

男猫ならいざ知らず。
あの、一番小さかった泣き虫猫は女の子だったなぁ。
可哀想すぎるぜ!!

俺だって、捨てられた時は子猫じゃなかった。
だから野良猫になって生きられたんだ。

ああ・・
夜が明けて明るくなったら、
あの森を散歩する人間に見つかって、
メイたちは・・あのチビたちは・・

・・・・・  

ヒゲは、悩みました。
そして、自分のねぐらへ帰らずに、坂の途中の、
大きなお屋敷のほうへ向かいました。

 
あいつに相談してみよう・・
この時間なら、あそこに居るはず・・。

お屋敷の庭は、にょめごと森と似たような香りが微かに漂っていました。
サルナシの木の香りです。
新緑の枝葉が青々としていました。

そのお屋敷の裏手にあるマンションに、ヒゲの親友猫が住んでいました。
ヒゲは、親友猫がどこに居るか、知っていました。
この時間なら、あそこに居る!と確信している場所へと向かいました。


次回へ続きます・・

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3)思い出の場所

それから数十分後、3本目のクジを当てた猫がいました。
会長猫は、チャンスを手にした猫たちに、お決まりの言葉を伝えます。

「クジに当たった幸運な皆さん、おめでとう。
 そのチャンスは譲渡もできます。
 家族の誰かに代弁して貰ってもかまいません。
 あさっての晩の野良猫夜話の大会の時には、
 そのかたと共に、このステージに立ってください。
 では、ごきげんよう」

会長猫がそう言い終わると、野良猫たちは、バラバラと帰り始めました。

ヒゲは、帰りながら何を話そうか考えました。
夜空を眺めると、月は薄ぼんやりと光っていました。

ヒゲは、ねぐらの倉庫に戻る前に、にょめごと森の神社の境内に来ました。
思い出します。

この神社の、この場所は・・
この町に・・俺の家族がいないのは・・

俺だけ、ここに捨てられたからだ。

ヒゲは、スズメノテッポウを縁台に置いて、
自分も横になりました。

俺、ここに置き去りにされたんだっけなぁ・・。

そんな話は、面白くもなんともない。
あぁ、何か面白いネタはないかなぁ。

ヒゲは、うとうとしてきました。
少し寝たのかもしれません。


☆彡------------------

おっといけない・・こんなトコで寝ちまったら、
明日の朝飯を食いっぱぐれちまう。

野良猫は、ハンノラよりも、帰る場所を大事にしていました。
なぜって・・
数日も留守にすれば、他の誰かにねぐらを横取りされてしまうからです。
よほど、ハンノラ猫より、規則正しい生活をしていました。

ヒゲが縁側から飛び降りて帰ろうとすると、前方に人の頭が2つ見えました。
こんな時間に、石段をあがってくる人の姿がみえました。
昼間のにょめごと森は、ちょっとした憩いの場ではありましたが、
深夜のにょめごと森は、人間たちが好む雰囲気ではありません。
 

ですから、夜になると猫たちが集会を開けたのです。
ヒゲは神社の縁の下にもぐりこんで、様子を見ていました。
 
若い人間の男女が、大きな荷物を毛布でくるんで、運んで来ました。
二人で持つほど、大きな箱です。

(なんだろう?)

人間の男女は、ヒゲの隠れた縁の下の真上の縁側に、荷物をおきました。
大きなダンボール箱でした。
そして包んでいた毛布をとって、その隣に置きました。

女の人は泣いていました。
男の人は「ごめんな」と言って、縁側から離れました。
二人は箱を軽く閉じて、去っていきました。

(ややや!なんだ?何を置いていった!)

ヒゲは、縁側に飛び乗って、箱の匂いをかぎ始めました。
(何かいる!)

それから、箱の周りを行ったり来たり・・その時です。
(ん・・あ!)

箱の中から、大中小の幼い猫たちが6匹、顔を出しました。
ヒゲを見た子猫たちは、あわてて箱の中に隠れました。

(いた!お前たち・・捨てられたのか!)
ヒゲが体を伸ばして、箱の中を覗き込むと・・なんと、
6匹だと思っていた箱の中には、もう1匹、
体が一番大きな猫、母猫でしょうか?
震えながら、うずくまっていました。

(7匹もか!お前ら親子、全員・・ここに置き去りか?
 信じられねぇ・・)

ヒゲは、箱のそばで、ため息をつきました。
箱の中の7匹は、申し合わせているかのように、誰も鳴きません。

まるで、強風に煽られて飛ばされてきた大きなカラ箱がポツリンと、
置かれているかのようでした。

(俺、黙って帰るわけには、いかねぇだろうなぁ・・)

ヒゲは、箱の中でじっとしている、一番大きな猫に話しかけました。

「ねぇ、大人猫のキミ、この子達のお母さんかな?
 俺、通りすがりの野良猫だけど、少し話さない?
 今の事態って、解ってるかな?
 外を見てごらんよ。
 怖がってる場合じゃないと思うよ」

すると、箱の中から、大人の雌猫のキリリとした声がしました。

「私たちに、話しかけないで下さい」


次回へ続きます・・


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2) スズメノテッポウ

猫たちがクジ引きに使う草とはなんでしょう?

それは・・・
スズメノテッポウ

スズメノテッポウ、という草です。
こんな草、見たことありませんか?

エノコログサ(猫じゃらし)のコビトのような草がスズメノテッポウ。
猫じゃらしと同じイネ科なのですね。
昔の人間の子供たちは、この草のアタマの部分を引っ込ぬいて、
息を吹きかけ、ピーピーと音を出しては、道草しながら帰ったものです。

道端に生えるクサには、お散歩ワンコがカケションをしていますね。
散歩猫だって避けています。
しかし、猫たちは毛づくろいをして飲み込んだ毛を吐き出すために、
どうしても草を食べます。

にょめごと森には沼の干上がった場所がありました。
集会を開く場所です。
この時期には、スズメノテッポウがワサワサ生えていました。

その穂先の花を摘み取って、切り株の上にドサリンコとおいて置きます。
こんもりと積まれた草束をクジの棒に見立て、猫たちが順番に引きます。
こんもりとした草束のなかに、穂のついたものが3本だけ紛れています。

それが、当たり!

集会を取り仕切る会長猫の元には、補佐猫が2匹いました。
赤茶の和猫の寅吉と寅次です。
猫たちがズルをしないよう、彼らが見守っていました。

ハズレクジを引いた猫たちは、舌打ちをしながら、
茎を噛んで飲み込みました。

ハズレクジを引いて、内心ホッとした野良猫もいました。
みんなの前で話すことが、得意でない猫もいるのですね。

でも、弁論のチャンス(当たりクジ)は、
誰かに譲ることができましたから、口下手な猫は、
明日のご飯と引き換えにしてもいいのです。

とにかく、クジ引きに参加して損はないでしょう。




会長猫も興味津々な顔をして、見守っていました。
と、その時、雄の野良猫が叫びました。

「ああ!俺、あたった!当たったー!」

会長猫がニコニコしながら、名前を訊きました。

野良猫は、スズメノテッポウを振り回しながら、
嬉しそうに答えました。

「俺は坂下のヒゲと申します。
 元はカワレ猫でした。
 今はリッパな野良猫です。
 その証拠に、俺には心配してくれる人間の家族がいません」

「そうですか。おめでとう。
 ヒゲさん、そのクジをなくさないように。
 大会は、あさっての晩ですよって、 
 雨が降ったら、その翌日の晩ですな。
 では、頑張って下さい」

ヒゲは、頭を掻き掻きテレながら頷きました。


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1) 猫夜話大会のご案内

野良ヒゲの5月


1) 猫夜話大会のご案内

初夏も近い、5月連休の最初の晩の集会です。
にょめごと森では、いつもより多くの野良猫たちが集まっていました。

それもそのはず。 
にょめごと森では、年に2回<猫夜話大会>という大集会があります。
今夜は<猫夜話大会>の、出場候補猫が決まる集会なのです。
<猫夜話大会>とは、人間で言うところの弁論大会のようなものです。
開催月は、毎年5月と11月。

5月の参加資格は、純粋な野宿猫(ノラ)であることと、
クジで当たり草を引いたらです。

11月の参加資格は、家持ち外猫(ハンノラ)であることと、
クジで当たり草を引いたらです。

いずれも当たり草は3本だけ用意され、あとの草はハズレです。
当たり草を引いた猫は、みんなの前で何かを語ります。
一番良かった話は優秀猫夜話賞に決まります。
テーマは自由。

自分の体験談でもいいし、
猫仲間から聞いた話でもいいし、
お題は何でもよいのです。

さて、優秀猫夜話賞、いったい誰が決めるのでしょうか?

ノラ猫たちの時は、ハンノラ猫たちが審査をします。
逆にハンノラ猫たちの大会では、審査員がノラ猫たち。
環境の違う猫たちが、それぞれ審査員になるのですね。

優秀猫夜話賞に輝いた猫の待遇は、素晴らしいものでした。

猫夜話大会の開催は、丘の上の戸建住宅地(坂上)のボス猫や、
商店街やマンションの建っている坂の途中(坂中)のボス猫や、
駅前や工場の多い(坂下)のボス猫たちにも公認でしたから、
優勝した猫とその家族は、次の猫夜話大会の優勝猫が決まるまで、
縄張り争いに巻き込まないという約束のもと、
自由にゴミあさりも許可されました。
町全体、坂の上中下を自由に歩ける資格が得られるのです。

それから、こんな特権もあります。

優勝したノラ猫が、ハンノラ猫の家に訪問したら、
その家の環境が許す限り、
ハンノラ猫はご飯を分けてあげなければならないこと。

優勝したハンノラ猫が、町なかで道に迷ったら、
ノラ猫たちはハンノラ猫の家まで、
道案内をしてあげなければならないこと。

それが、それぞれ大会後の猫たちの決まりでした。
 
これに参加しない猫がいないわけがありません。
殆どの猫が、このイベントのクジ引きに参加しました。

というわけで、今夜は、野良猫たちの猫夜話大会のクジ引きの晩でした。

ところで、草のクジ引きとは何なのでしょうか?

次回へ続きます・・

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野良ヒゲの紹介&目次

俺は野良猫のヒゲ。
黒褐色の短毛に縞模様の入った和猫だ。
ちょっと見は、野良猫に見えないらしい。
品のある顔つきだとハンノラたちは言う。

引き締まった体つき、抜群の運動神経を備えてる。
(それはまぁ、太るほど食えない事情(=^・^;=)
機敏にならないと、外では生きていけないからね。

俺は、もとはカワレ猫だった。

ある日、にょめごと森の神社に置き去りにされた。
ははは・・
つまり捨てられたってワケだ。
理由は・・ワカラナイ。
・・・。

以来、にょめごと森の町の坂下にねぐらをもつ野良猫になった。
 
早起きは三文の徳、じゃないけど、確かに早起きしないと、
食いっぱぐれるね。でも喧嘩は好きじゃない。
何も食べない日もあるけど、なんとか生きてる。

カワレ猫時代に、去勢手術とやらをされちゃったから、
メス猫にも興味なし。
情けない、とか言わないでくれ。

おかげで、ボス猫にも素直に従えるし、従順なもんさ。
寒い時期だけが、苦手だ。

もうすぐ、俺の6年目の初夏が来る。


さて俺は【ヤッタの冒険】の2作目のヒーローになるらしい。
いや、今回の話は、俺の冒険じゃないんだよ。

にょめごと森で、カワレ猫の姉弟妹に出会うんだ。
その姉貴猫から聞いた話を俺がするって感じかな。
これは、駒吉猫が人間から聞いた実話だそうで。

なら、駒吉猫が登場して、直接語れって言いたいだろう?
それは、ちょっとヤバイんだな(=^・^=)
まぁ、駒吉猫にもいろいろと立場ってものがあるそうだ。

というわけで、今週から始まる俺の話をお楽しみに。
今回は5話くらいで完結させるって噂だよ!ほんとかニャ。
爽やかに完結するといいが(=^・^=)

------------------------

【野良ヒゲの5月】は、2006年4月10日からスタート。
更新しましたら、随時、目次をココに記していきます。
TOPのサイドバーの■(=^・^=)更新情報(お知らせ)も参考に。

1) 猫夜話大会のご案内
2)スズメノテッポウ
3)思い出の場所
4)姉貴猫、メイ
5)父猫チャンプ
6)子猫のゆくえ
7)野良ヒゲの思い
8)期待ハズレの当たりクジ
9)戻ってきた人間たち
10)泣きっ面に・・雨?
11) 猫たちの夜話(最終話)

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プロフィール

美月

Author:美月
家族は、夫と母と愛犬3匹、愛猫3匹、熱帯魚。
2015年春まで都内在住。
2015年春から隣県の実家暮らし。

2017年秋、放置気味のブログをこちらに移行して、ワンコ日記を再開。
再開のキッカケは、きくみみに、弟分(たび)ができたから。

ガーデニングブログも、こちらに移行しました。

【主 now The きくみみ&たび】とは、
【シュナウザーきくみみ&たび】
主人公(主犬公?)は愛犬たちという意味です(^^)

-------------------------
注)
2017年10月以前の記事のページは、3つのブログがこちらに移行されていますので、
記事内容のダブりがあります。
少々ウザイ状態ですが(^^ゞ
リンク先が不明ページも(ここに移行して載せていますので)実は、あるのですょ。


猫の創作話は【駒吉(愛猫の名前)】で綴っています。

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